鍼灸師のよくある不正(保険・無資格)と罰則、告発方法(匿名)について

いつも当メディアをご覧いただき、ありがとうございます。

この記事では

  • 鍼灸師業界でよく起きている法律違反(保険の不正請求や無資格・無免許の施術など)
  • どういった処罰があるのか
  • もし告発するには、どうすればいいか(匿名は可能か、私たちに影響はあるか)

についてご紹介します。

 

この記事を読んでいただいている当本人が法に触れることをしているとは思いませんが、場合によっては、ただ勤務している私たち鍼灸師も免許取り消しになったり、いきなり数百万円のお金を請求される可能性があります。

という事で、鍼灸師業界のよくある法律違反についてご紹介します。

※シビアな問題のため、詳細は弁護士等にご相談ください。

目次

鍼灸師の保険の不正請求のよくあるパターンについて

鍼灸の不正請求には、いくつかのパターンがあります。

  1. 架空請求:実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
  2. 付増請求:実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
  3. その他の請求:患家以外で行った診療を往診したものとして、診療報酬を不正に請求していた。

 

不正請求の説明をするには、逆にまず保険請求の方法を簡単に列挙する必要があると思います。

鍼灸の保険請求の方法は、

  • ドクターから同意書を取得する。
  • レセプトを毎月10日必着で、各保険者に提出する。
  • その後、保険者がレセプトを認めると、鍼灸師の銀行口座に振り込まれる

となっていて、いわゆるよく言われる不正請求は「治療日数のごまかし(治療していないのに、治療したことにしてレセプト請求する)」です。

 

これは別に鍼灸だけでなく、病院や接骨院などレセプトのあるところでは常にある一定数がしており、テレビでもたまに事件として見かけます。

もちろん行政も様々な防止対策をしているので、大規模に不正をしていると必ず発覚します。

鍼灸師の不正請求がばれる理由

不正請求が発覚する理由としては、「治療日数が何日でした」というようなハガキが患者様のところに行くようになっています。

なので患者様の方で「あれ?今月20回も鍼灸院に行ったっけ?」となり、患者さんが保険者に問い合わせて発覚します。

 

逆に1日程度の不正であれば発覚しにくいですが、1日の不正で儲けられるのはせいぜい数千円で、それではデメリットがあまりにも大きすぎます。

そのため基本的に小規模な不正請求は存在しません。

患者様に「保険使いましょうか」と巻き込む方法も

ここで犯罪をするような鍼灸師が次に考えるのが、「患者とグルになる」という方法です。

「治療していないのに、治療したことにして、請求して、保険で入るお金を半分こする」という手が考えられます。

 

これだと、患者が申告しなかぎり発覚しません。

ただ、やはりこれも大規模にやっていると色々と調査があるようです。

実際に保健所や警察なのど担当者が患者宅を訪問し、直接聞き取りを何人もしていけば、(レセプトにある日に、本当に治療受けたのですか?と詳しく聞き込めば、たいていボロが出るので)発覚はします。

 

また現在は上記のようなことから、「そもそも医師が同意書を発行しない」というケースが増えています。

これは医師会や医局全体の方針で、教授から通達が出ているようなケースも珍しくありません。

ついには医師まで巻き込むケースも

なので「医師とグルになる(もちろん、闇で謝礼を渡す)」という手法もあるそうです。

つまり、医者と鍼灸師と患者がグルになるわけです。

 

そして、生活保護者や低所得者層をニセの患者として大量に集めてきて・・・。

もうこのあたりになってくると、暴力団からみで・・・という感じで、私も噂くらいしか知りませんので、はっきりとしたことは言えないのですが、理論上として、可能ではあると思います。

ただ、やはり定期的に摘発され、そのたび保険請求が難しく、書類が多くなって正規の保険利用者や鍼灸師が困るという事態です。

当然、法律違反なので逮捕される

当然ですが全て法律違反ですので、保険請求額の返還はもちろん受領委任の取り消し、悪質な場合は逮捕されるケースもあります。

3月11日、広島南署は広島市南区青崎2丁目、鍼灸師洪末淑容疑者(54)=詐欺容疑で処分保留=を別の詐欺の疑いで逮捕した。逮捕容疑は2013年2月25日ごろから18年11月30日ごろまでの間、経営する南区の鍼灸院で実際はしていない施術をしたように装い、南、安佐北、安佐南の各区役所に施術療養費の請求書を55回にわたり提出し、計約112万円を自身の銀行口座に振り込ませ詐取した疑い。

同署によると、客の通院回数を水増しするなどの手口請求していた。同様の手口で14年12月~18年6月に計5回、県後期高齢者医療広域連合から計約13万円を詐取したとして今年2月19日、詐欺容疑で逮捕された。

https://hiroshimastyle.com/blog-entry-5896.html

その他の鍼灸師のよく起こす問題

保険の不正請求以外にも、鍼灸師には闇の深い問題が起こりがちです。

鍼灸師の資格のない無資格・無免許スタッフがお灸をしている

いわゆる「無資格・無免許の鍼灸」ですね。

よくあるパターンは

  • 「院長から私たちの鍼灸免許を使わせてほしい」と言われる
  • 「免許取得者の指示の元でお灸をするのは認められている」と言われる

こういうケースがあります。

 

当然ですが、きゅう師の免許は取得した本人のみ有効で、他の無資格者が使用することは禁じられています(仮に免許取得者の指示であったとしても)。

あはき法にて無資格の場合、50万円以下の罰金に処せられます。

無資格者に免許を貸していた本人も法に問われる可能性が

ここで問題なのが、無資格鍼灸師に免許を貸していた(もしくは院長に勝手に使われていた)鍼灸師自体も処罰がある可能性があるという事です。

以下は柔道整復師のケースですが、”名義を勝手に使われて、不正請求されていた側の勤務柔整師”が、返金や取扱停止の処罰を受けています。

 

 近畿厚生局京都事務所は15日、宇治市大久保町の「みゆ鍼灸整骨院」(廃院)と、名義貸しを行っていた女性柔道整復師(35)に対し、療養費の受領委任取り扱いを5年間中止相当とする措置を下した。13日付。近畿厚生局は、女性柔道整復師に対し、不正請求額215万円の返還を求める。

近畿厚生局京都事務所によると、同院は、平成23年5~10月、柔道整復師の資格を持っていない職員3人が、出産のため出勤していなかった女性柔道整復師名義で行った施術を請求したほか、施術日数を水増しするなどの架空請求を行い、計30人分約215万円を不正に請求したとしている。女性柔道整復師は「経営のことは開設者に任せていた」。元開設者は「経営が厳しかったため不正請求した」と話したという。

https://ameblo.jp/anmadaisuki179/entry-12500924030.html

 

上のケースは免許貸しだけでなく水増し請求までされていましたが、私たちの免許で何をされるかわかりませんよね。

水増し請求、保険の不正請求…勝手にやられていたことが、全て私たち一般の鍼灸師の責任になるのです。

 

その結果ある日突然、数百万円の支払い義務を背負わされるわけですから…。

 

また無資格スタッフが施術をした結果、以下のような死亡事故につながるケースも起きています。

昨年の12月に大阪池田市の整骨院で、はり治療の資格を持たない柔道整復師からはり治療を受け女性が死亡した事件で、元副院長の岡村祐樹容疑者(26)と、院長の吉田起祥(きよし)容疑者(37)の2人が逮捕された。

逮捕容疑は、岡村容疑者が業務上過失致死とあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律違反の疑い、吉田容疑者が同法違反の疑いとなっている。

https://www.jusei-news.com/Old_Site/news/2010/03/news-sonota8_10_2_24.html

 

このように、私たちは不正を目の前にして(でも私がやってるわけじゃないし~)とは言っていられません。

もし怪しいなと思えば、今すぐにでもその治療院から逃げてください。

 

新卒で鍼灸整骨院に就職した結果、まだ賠償責任保険など加入もしてないのに、いきなり患者さんに鍼打ってと言われた

人手が足らない鍼灸院や鍼灸整骨院でよく起こりがちですね。

場合によっては「お店が加入しているから大丈夫、責任はお店がとる」なんて言われることもあるでしょう。

 

実は施術自体は、鍼灸師としての資格は所有しているので、法的な罰則になることはありません。

ただ賠償責任保険は2パターンあり、鍼灸師の業務による賠償事故と、院内施設の不備による賠償事故の保険があります。

この件は院内の保険になりますので、その鍼灸師がミスを犯してしまった場合、賠償請求がかかるのはお店ではなく、保険に加入していない鍼灸師本人になります。

 

例えば患者さんを気胸にさせてしまった場合等、入通院慰謝料と入院雑費が請求されます(入院慰謝料は6日間で10万円程度、入院雑費を別途1日1500円/参考)。

賠償金は非常に高いものになりますので、保険加入後に施術に入るほうが良いかと思いますし、まともな治療院なら新卒者にそんなことはさせません。

何よりも患者様の迷惑ですから。

院長のみ鍼灸師の資格を持っていて、保険診療は院長のみで担当しているものの、リラクゼーションは無資格者に担当させている

リラクゼーションは資格が必要ないため、このケースは特に問題ございません。

ただホームページやチラシ等に「マッサージ」「治療」といった言葉は用いてはいけない等の規制はあるようです(参考)。

広告制限に違反した場合は、きゆう師等に関する法律第13条の8により30万円以下の罰金に処せられます(参考)・

不正をしている治療院の通報・告発方法

告発方法としては、県、地方厚生局、保険者のいずれかに「○○がこういったことを行っている」と告発(電話でも手紙でも)する方法があります。

 


※保険者とは「全国健康保険者協会」通称「けんぽ協会」や「国家公務員共済組合」など、保険証に書いてある保険請求先です。

加入している健康保険によって、さまざまあります。

患者が加入している保険者に問い合わせしなければなりません。


 

もちろん匿名でも可能ですが、匿名→鍼灸師→患者の順で効果(実際に動くかどうか)が違います(もちろん患者からが一番効果的)。

匿名で密告する場合でも、行政としても動くには「事実確認」「物的証拠」などが必要ですので、匿名でされたい場合は特に、そういう第三者が見ても妥当と判断できるような証拠物件が必要です。

逆に、「なんとなく、あそこの鍼灸院は不正しているっぽい」のような匿名の投書では相手にされません。

治療院を告発すれば、その治療院は潰れるのか

鍼灸院には、もちろん影響あります。

実際に不正を行った鍼灸師は、最悪受領委任の取り消し。報道も発表されるかもしれません。

 

大規模な不正の摘発でテレビのニュースになったりすると、鍼灸院はみんな不正をしていると一般人には思われてしますので。

加えて保険者の取り扱い(審査方法)も変更となり、より厳格な審査となり、各施術の単価などの引き下げも行われるかもしれません。

 

ただ鍼灸院は保険を取り扱っているとことろが少ない上、患者様と信頼関係が長年の治療を通じてできあがっている所が多いので、すぐさま来院者数が激減するようなこともありません。

ただ業界のためには絶対に意味のある事ですから、匿名だとバレることもないので、通報していただくのがベストでしょう。

 

ただし面倒なことはしなくない、自分はただ巻き込まれたくないというだけなら、黙って今すぐその場を逃げるというのも賢い選択だとは思います。

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この記事を書いた人

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