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今回は、
- あん摩マッサージ指圧師の業界でよく起こる法律違反
- 破った場合、あま師にどんな影響があるか
- 違法な施術所の告発方法(匿名で可能か、業務停止命令は出るのか、等)
についてご紹介します。
あん摩マッサージ指圧師業界でよく起こる”保険診療の不正請求”について
まず不正請求の内容としては、
- 架空請求
- 保険診療時の無同意施術
- 再同意の虚偽記載
- 往料費や施術回数の水増し請求
といった内容があります。
上記のような不正請求事案に対しては、不正受給額の返還を求めるとともに、代理受領の取扱いを中止するなどの罰則があります。
架空請求
実際には施術をしていないにも関わらず、施術をしたかのように装い、療養費支給申請書に虚偽の記載をして療養費を不正に受給するのが「架空請求」です。
無同意施術
医師の同意を得ないでおこなう施術が「無同意施術」 となります。
虚偽記載
一定期間が過ぎた後に再度同意を取得しなくてはなりませんが、それを行わずにそのまま同意書を作成して「虚偽記載」となってしまうこともあります。
あん摩・マッサージ・指圧の施術を保険請求・保険適用で行うためには、初回に医師の書面による同意(3カ月有効)が必要です。
そして施術を継続するためには6 カ月ごとに書面又は口頭で医師の再同意を得る必要がありますが、仮に6か月後に療養費支給申請書に「医師の再同意を得ている」との虚偽の記載を行い療養費を受給すると、「虚偽記載」となります。
水増し請求
往料費や施術回数の水増し請求については、本来は訪問した場所から訪問した患者の往療費を計算するべきなのですが、別の患者を経由して往療を行ったにもかかわらず、施術所から直接訪問したとして往療距離を水増しして、患者までの距離が長くなるように申請書の施術者住所を虚偽記載し、往療距離を水増ししているケースがあります。
あん摩マッサージ指圧師の無資格・無免許者の施術問題
それでは次に「無資格者の施術」について、よくあるパターンと発覚した場合の罰則についみていきましょう。
無資格者のマッサージとは、名前の通り「あん摩マッサージ指圧師の資格を持たない者が、マッサージと称して施術をする事」です。
例えば完全に無資格だったり、柔道整復師にマッサージをさせるケース等がございます。
無資格者の施術は違法云々の前に非常に危険な行為で、中には重度のむちうち症の方や、明らかに腫れている患部を無資格者に触らせてとんでもないケースになる事もあります。
同じような無資格施術では柔道整復師や鍼灸師の業界でも起こっていますが、この2つの業界では無免許施術で死者さえ出ていますから、本当に危険です。
当然ですが以下のように、代表はもちろん”実際に無資格でマッサージしていた人自身”も逮捕されています。
無資格のマッサージ師を全国の健康ランドやホテルに派遣していたとして、神奈川県警厚木署は
マッサージ師派遣会社エーワン会長とその実弟を、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する
法律違反の疑いで逮捕した。また、無資格女性マッサージ師2人も逮捕した。
エーワンは1981年に設立以来、年商24億円にまで成長した業界最大手。
同社所属のマッサージ師は700人にものぼり、うち522人は無資格だった。
容疑者は、「うちはボディケアで、マッサージではない」と容疑を否認している。
(2004年1月14日記事)https://www.yakujihou.com/sejyutsu/
あなたも危ないかも!勝手に免許を使われていると大変なことに…
もしあなたが勤めている治療院で無資格マッサージが行われている場合、どなたかのあん摩マッサージ指圧師の免許が勝手に使われている事があるかもしれません(というかよくあります)。
こんな状況でただの無資格マッサージ施術ならまだしも、不正な保険適用・保険請求が行われていた場合、勝手に使われていた”あま師本人”が不正受給した保険金の返還を求められるかもしれません。
…というのも、同じ状況で柔道整復師の方が、名義貸しをしていたという理由で、ある日突然200万円の返還を求められたケースが起こっています。
↓
近畿厚生局京都事務所は、宇治市大久保町の「みゆ鍼灸整骨院」と名義貸しを行っていた女性柔道整復師(35)に対し、13日付で療養費の受領委任取り扱いを5年間中止相当とする措置を下した。
同院は、平成23年5~10月、柔道整復師の資格を持っていない職員3人が、出産のため出勤していなかった女性柔道整復師名義で行った施術を請求したほか、施術日数を水増しするなどの架空請求を行い、計30人分約215万円を不正請求したとされている。
女性柔道整復師は「経営のことは開設者に任せていた」。元開設者は「経営が厳しかったため不正請求した」と話したという。
近畿厚生局は、女性柔道整復師に対し、不正請求額215万円の返還を求める。
https://www.jusei-news.com/Old_Site/news/2012/10/news-sonota79_12_10_18.html
もし勝手に名義を使われていた場合、「知りませんでした」では済まされません。
今すぐその現場を逃げるか、もしくは告発して不正を辞めさせるしか方法はありません。
不正をしている治療院を告発・密告する方法と、その効果について
告発する場合、「通報制度」としては通報者のプライバシーの保護は義務付けられているのですが、実際問題として告発時に「証拠」の提出がないと告発をしたところで「告発先に問い合わせましたが、回答では問題がありませんでした。」となることが多いです。
このため「匿名」での通報はできても、結局のところ通報者に関する情報がある程度は必要になります(患者様からの密告等)。
告発については、
- 各種保険の取り扱いの窓口
- 国民健康保険や社会保険などの健康保険、あるいは介護保険などの管轄をしている担当役所
- 厚生局や厚生支局、保健所
に相談をするのが良いです。
処罰に関しては調査後に確定されますが、違反の程度や期間にもよるため一発で業務停止命令が出るかどうかはケースバイケースです。
ただ治療院の不正はニュースにもなりやすく、一度摘発された治療院は業務停止命令を除いても影響は大きいです。
真面目に働いている人も沢山いますし、不正が結局は保険締め付けになって他の方々にも迷惑をかける羽目になりますから、告発する勇気のある方はぜひともお願いいたします。