今回は鍼灸師から、他業種へと転職された方に以下の点をインタビューしました。
- 鍼灸師の仕事から転職した理由
- どのような業界や仕事に転職し、何が変わったか(改善されたか)
いま鍼灸師をされていて、色々な面でお仕事に悩みや不安がある方もいると思います。そういった方々の参考になれば幸いです。
一方で鍼灸師を続けるメリットもあります。せっかく手にした医療系国家資格なので、やめる前には慎重に熟考することをおすすめします。
鍼灸師を続けた方がいい理由ややめたくなった時に取ってもらいたい行動についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
鍼灸師をやめて一般企業に転職した理由をインタビュー!
今回様々な方へインタビューを行いましたが、この記事では5名の方のインタビューをご紹介します。
「有給休暇がなく、休むに休めない状況で…」
個人経営の鍼灸治療院に就職をし4年間勤務をしました。
初任給18万からスタートしましたが給与が安くそこから税金等を差し引くと、生活をするのでやっとの状態でした。
鍼灸=修行の観念が強い院長だった為、昇給も少なく拘束時間(9:20~21:00頃まで)が長かったです。
休日も院内の勉強会などもありましたが、月に7日程度の休暇がありました。
月に7日程度は休めるものの有給休暇がなかったため、冠婚葬祭などで休暇をとると給与も下がってしまい休みが取りずらい職場でした。
患者さんからの感謝の言葉を頂くとやりがいも感じる仕事でしたが、他の勉強をしようと思っても時間をとる事が出来ず、その為の学習費用を捻出する事も難しかった為転職をしました。
「昇給・ボーナスなしで体力的にも精神的にも苦痛を感じ転職しました」
鍼灸整骨院で働いていましたが拘束時間が長いうえに、休日は実質週1回と、祝日のみです。
昇給はもちろん、寸志や賞与もないため、体力的、精神的にも苦痛になり転職にいたりました。
当時、いろいろなことに興味をもっていました。
特に旅行です。
鍼灸師として、別の場所で働いたとしても結果は同じになることは目に見えていたので、転職することに決めました。
自由な時間を作ることが私にとって当時重要なことでした。
「一般企業に勤める友人との収入の差に悲しくなり…」
私は祖父が鍼灸師をしており、その姿を見て憧れて専門学校に通い鍼灸師となりましたが、給料の安さに生活が苦しくなり転職をしました。
当時の私の手取りは17万円程度で、それが当たり前だと思っていましたが、一般企業に勤めている友人との年収にあまりにも差がありましたのでとてもショックを受けたことあの時の気持ちは今でも覚えています。
夢の仕事だったとはいえ、それに見合った給料が入ってこないと生活すら保てなくなりますので、しっかりと考えた結果答えを出しました。
「自分の独立開業した鍼灸院が稼げなくなったので閉院し転職しました」
単純に自分の経営していた鍼灸院で稼ぎを出せなくなったからです。
客単価が20分1回施術で500円程度と安く、保険適用を考慮すると利益は1回あたり700円がいいところでした。
これを1日10人分行い、月25日で250時間働いて額面約17万5000円の利益でした。
これほど利益・収入が少ないのならとても自営業で鍼灸院を行うメリットはなく、ある日私が借りていたテナントの後継者候補が名乗りを上げたこともあって廃業・転職を決行しました。
「コロナウイルスが原因で生活できなくなったので…」
鍼灸師から転職した理由は、今は新型コロナウイルスが蔓延した事で、特に老人のお客さんがこの院に来なくなり、予約の電話もなくなり、勤務していても暇な時間が増えてきてきたからです。
経営者の先生からも「何処の企業の休みなので、うちも2週間休み」と言われ、その間の賃金の事でもめて生活が出来ない事態になり、余儀なく転職しました。
ここまでのまとめ:賃金や勤務環境が原因で転職する人が多い
今回ご紹介した以外にも様々な方へインタビューを行いましたが、鍼灸師の転職の理由は
- 勤務時間が長い
- 有給が取れない
- 基本給が低く、しかも昇給しない
- ボーナスが出ない
- 休みが少ない
- 将来性を感じない
こういった理由が多いです。
確かに個人の治療院は大体が当てはまりますね(笑)
ただ鍼灸師の資格を使って、
- 勤務時間が定時で残業がなく
- 年収は500万円に届き
- 年齢と共に昇給し
- ボーナスも貰えて
- 有給も取得出来て
- 完全週休二日制
という働き方ができる就職先もあります。
以下の記事で紹介しているので、興味があれば読んでみてください。
↓
鍼灸師をやめる際に必要な手続き
鍼灸師をやめる際に必要な手続きは次のとおりです。
- 保健所への届け出
- 鍼灸師保険の中止
- 鍼灸師団体からの退会
以上は、主に独立開業をしていた鍼灸師がやめる場合に必要な手続きです。
勤めている場合は保険所への届け出や鍼灸師保険の中止についての対応は不要です。また従業員として働いている場合は、鍼灸師団体に加入している人も少ないと思われます。そのため勤めていた多くの鍼灸師は、とくにやめるために必要な手続きはありません。
なお、鍼灸師資格の削除も可能ですが、一度削除してしまうと施術ができなくなってしまいます。将来的に後悔する恐れもあるので、削除をせずにそのままにしておくことをおすすめします。
鍼灸師をやめてよかった方にインタビュー!
それでは次に、鍼灸師からどんな業種・業界に転職されたかについてご紹介します。
「鍼灸師からオフィスワークに転職しました」
派遣社員としてオフィスワーク(内部営業)に転職をしました。
特に希望の職種はなかったのですが、最低でも手取り20万程度で定時で終わる仕事を探し転職をしました。
社会保障完備、残業代有、休日出勤もなくなり、趣味の時間等も持てるようになりました。
就業1年後には派遣社員から正社員になり、ボーナスも頂けるようになりました。
鍼灸師時代の薄給に両親からも心配されていましたが、安定した仕事に就いたと家族は安心していました。
鍼灸治療は家族や友人に施術をするくらいになりましたが、自分の時間を持てるようになった事、貯金を出来るようになった事はよかったと思います。
有給休暇も取得できるようになった為、旅行などにも行けて時間を有効活用できるようになりました。
「鍼灸師からオペレーターに転職し、結果的には結婚も出来ました」
オペレーターに転職しました。
具体的にはインターネットの接続方法を電話でサポートする仕事です。
この仕事を選んだ理由は、比較的自由にシフトを組めるため、自由に過ごせる時間が増えました。
それで、念願のハワイ旅行にいくこともできました。
転職して変わったのは、パソコンのスキルがあがりました。
あとは、スタッフはとても多いのでいろいろな方に出会うことができました。
もちろん電話の仕事なので電話対応もスムーズにできるようになりました。
クレーム内容もあったのでクレーム対応もできるようになりました。
日常生活に活かせることは、人にwifiの接続方法を簡単に説明できることです。
今まで時間を拘束されすぎて、最初はあまった時間をどう使えばいいかわかりませんでしたが、自分のやりたかったこと、興味はあることは増えて、DIYをして庭にラティスを作ったり、時間ができたので恋人をみつけ、結婚して、出産することもできました。
「他業種未経験から、食品メーカーの生産管理へ転職」
今まで鍼灸師を目指すために専門学校に通い、それ以外の仕事なんてしたことがありませんでしたので、仕事探しには本当に苦労しました。
まずは転職エージェントに相談したところ、未経験でも雇ってもらえる仕事内容を多数紹介してもらえました。
その中でも私は食品メーカーの生産管理を選びました。
私は昔から食べることが大好きで、飛行機に乗って遠方まで食の旅に出かけるほどです。
せっかくなので自分の趣味や好きなことを仕事にしたいと考えましたので、この仕事を選びました。
今の仕事はお客様からの問い合わせやメール対応など、今までやったことのない仕事なので戸惑うことばかりでした。
ですが土日は必ず休みですし、安定したボーナスも貰えるので、鍼灸師の頃よりも生活水準が上がりました。
「鍼灸師を廃業し、コンビニのアルバイトを始めたのですが…」
廃業を決意するなり、私はコンビニのアルバイトの面接を受けることにしました。
準夜勤、夜勤、早朝勤が極度の人手不足の店舗であったため、午後10時から翌9時まで休憩1時間込みの実働10時間という勤務条件で週5日働くことになりました。
額面金額は月25万円前後とこれでも鍼灸院時代よりは給料が上がりました。
さらに廃棄の食品も譲り受けてもらうことができるため、食費もそれまでよりかからずに済みました。
オーナーや責任者の人が良い人であり、夜勤ではなるべく体力を温存するように進言してくれ、客がいないときはワンオペ中の事務所での仮眠も許されました。
自分の鍼灸師人生は何だったのかと1人で泣いてしまうこともありましたが、廃業してよかったと思っています。
他には、どんな仕事に転職する鍼灸師が多い?
鍼灸師のお仕事に遠くない転職先としては、リラクゼーションマッサージのお仕事に転職されたり、准看護師の資格を取るために学校に通いなおされる方も多いです。
まったくの他業種ですと、もともと社会人経験があり鍼灸師になった方はオフィスワークに転職された方が多かったです。
一方で鍼灸学校からストレートで鍼灸師になった方は、他に経験や資格など無いことから、未経験でも雇っていただける製造業へ転職される方も多いです。
他にもお給料重視という事で、深夜手当が付く夜勤のお仕事に転職された方もいました。
正直鍼灸業界からですと「待遇いいな~」と思われる業界の方が多いと思いますので、もし気になっているところがあればぜひチャレンジしてみてください。
鍼灸師をやめずに続けたほうが良い理由
鍼灸師をやめてよかったという意見がある一方で、続けた方が良い理由もあります。鍼灸師をやめずに続けた方が良い理由は次のとおりです。
- 鍼灸はかけがえのないスキルだから
- 流行っている分野もあるから
- 条件がよい職場も存在するから
それぞれについて解説します。
鍼灸はかけがえのないスキルだから
鍼灸はできる人が限られるかけがえのないスキルです。鍼を打ったり、お灸を据えたりする行為は医師と鍼灸師にしかできません。
できる人が限られるスキルということは、希少価値があるとも考えられます。今後、鍼灸の需要が拡大した場合に、さらに鍼灸師の価値が高まるでしょう。
流行っている分野もあるから
現在、美容鍼灸やスポーツ鍼灸などの流行っている分野もあります。有名人や芸能人が美容鍼灸を体験することがあったり、プロスポーツ選手がコンディショニング調整として鍼灸を利用している事例もみられます。
一般の鍼灸師して活動するのをやめたくなったら、美容鍼灸やスポーツ鍼灸の分野で活躍の場を模索するのも1つの手段です。
条件がよい職場も存在するから
職場によっては、鍼灸師を好条件で雇ってくれるところもあります。とくにグループとして多店舗展開する企業の場合、経営が安定しているため給与が良く、労働基準を遵守する傾向にあるため労働条件や職場環境が整っています。
現在の職場で鍼灸師として働くのがつらい場合は、他の整骨院や鍼灸院に転職することで状況を好転できるかもしれません。
鍼灸師をやめたいと思ったら取るべき行動
鍼灸師をやめたいと思ったら取るべき行動は次のとおりです。
- やめたいと感じる理由を考える
- 上司に相談する
- 転職を考える
それぞれについて解説します。
やめたいと感じる理由を考える
まずは、鍼灸師をやめたいと思う理由を考えてみましょう。その際に、鍼灸師自体がイヤになったのか、現在の職場で働くのがつらいのかを分けて考えることが大切です。
また仕事で成果を出せずにやめたいと感じる場合は、現在の仕事のやり方が間違っていないか確認してみましょう。
スキルや知識が足りていない場合は、これから経験を積んで身に付けていけば、将来的には鍼灸師をやめなくてよかったと思える日が来る可能性があります。
上司に相談する
やめたくなったら上司や先輩に相談してみましょう。現在は活躍する上司や先輩も、駆け出しのころは鍼灸師に向いていないと感じ、やめたくなった時期があるのかもしれません。
具体的なエピソードを交えて上司や先輩にアドバイスをもらえると、鍼灸師として成長するモチベーションにつながるでしょう。
また日頃の業務についてもアドバイスやサポートを受けられると、鍼灸師として成長が期待できます。
転職を考える
1~2つの職場で鍼灸師をやめてしまうのは、時期尚早かもしれません。なぜなら、現在の職場が、たまたま自分に合っていなくて鍼灸師としてうまくいっていない可能性があるからです。
他の鍼灸整骨院や鍼灸院、医療機関など自分にあった職場に転職できれば、鍼灸師の仕事自体も成功して、やめなくて良かったと思える可能性があります。
鍼灸師をやめたくなったら職場を変えてみよう
鍼灸師をやめたくなったら、まずは職場を変えてみましょう。
これまでに働いた職場が1~2つの場合は、たまたま自分に合っていなくて鍼灸師として納得のいく働き方ができなかったのかもしれません。
弊社メイプラスグループでは、施術スタッフとして働いてくれる鍼灸師を募集しています。入社2年目から30万円以上の収入が目指せ、福利厚生も充実している職場です。技術指導にも力を入れていますので、ぜひ求人に応募してみてください。