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今回、小児はり(小児鍼・小児針)を経験された鍼灸師の方にインタビューにご協力いただきました。
小児はりを見られるところに就職・転職したい方の参考になれば幸いです。
※以下、インタビュー内容をそのまま掲載します。
鍼灸師として小児はりへ就職・転職した理由を教えてください
小児はりの技術を、初めて学んだのは鍼灸の学生時代に近くで鍼灸の先生が「子育て支援」のボランティアをされていたので、そのお手伝いで参加した時です。
子育てや出産に関われることは、医療家としてまた東洋医学に関わる者として名誉なことであるとその時に思いました。
相手が小児になりますので、「治療する技術」も必要ですが、まずは「小児に慣れて、小児が触れる(触って泣かれない)」ようになる必要があります。このあたりは、小児科の病院と似ていると思います。
とくに、若い男性の先生で子育て経験がない場合、近づくだけで泣き叫ぶ子供もいて、「治療どころではない」ということになります。
また、「親の目」にも注意が必要です。
小児は当然ですが、自分一人で歩いて治療院には来ません。
親御さんやご家族がつれてこられますので、親御さんへの対応能力が求められます。
小児はりを施術する場合、親御さんの無言の「この先生に、うちの大切な子を任せて大丈夫か?」というかなり厳しい視線をうけながら、小児はり行う必要があります。
一人目(長男や長女)のお子さんだと、そのチェックはさらに厳しいものになります。(二人目三人目だと、緩くなる傾向はあります)
鍼灸師としての小児はりの仕事内容・禁止事項を教えてください
特別に明確な禁止事項というものもありませんが、逆に「親御さんに、不審に思われる可能性のあるあらゆる行動が禁止」と言えます。
待合室に置いてあるおもちゃ一つとっても、よそのお子さんが舐めて遊んだ場合、さりげなく回収して消毒に回すのですが、神経質な親御さんは「丁寧に消毒に気を付けてくれる、いい鍼灸院だ」と喜ばれる場合もありますが、「うちの子の唾は、そんなに汚いか!?」と思う方もおられます。
「そんな細かいとこ、どうでもいいから治療に専念してろよ」と思う方もおられます。
親御さんたちの、あらゆる視線を気にしつつ、小児はりとしての治療を求められるわけです。
お仕事のやりがい・大変なことを教えてください
小児はりは、夜泣き、おねしょ、疳の虫、などのいわゆる小児自律神経失調に対応することができます。
こういった症状には、現在有効な薬がありませんので、ある意味鍼灸師の独壇場ではないかと思います。
ですが、技術習得の場がほぼありません。
小児はりの技術を持っている鍼灸師を探し出し、弟子入りでもするような感じで技術を身に着けるしかありません。
もちろん、今は小児はりの本や勉強会、探せばYouTubeもあるでしょうが、見て読んで習得できるようなものもでないのです。
就職した後の、職場での技術や知識の習得方法を教えてください。
必死になって、自分で経験を積むしかないと思います。
本を読んで、勉強会(あまりありませんが)に出席し、自分や自分の家族で練習し、あとは実践するしかないと思います。
もっとも、それは小児はりに限らず鍼灸の技術すべてに言えると思います。
鍼灸師にとっての小児はりの将来性・安定性をどう思いますか?
私は、自分で鍼灸院をやっておりますので、続ける予定です。
将来性や安定性にも、まったく問題ないと思っています。
ただ、小児はりに限らず鍼灸は昔から「食べていけない資格」と言われていて、現状周りを見ていても鍼灸で食べていけているのは、ほとんどいません。
逆に、少ないですが流行っている鍼灸院は猛烈に流行っているので、やり方次第だと思います。
小児はりをするのに必要な知識・経験は何ですか?実務経験なしのペーパーでは無理ですか?
鍼灸免許があれば、小児はりはできますが、小児対応、母親の気持ち、というものがよく分かっている必要がありますので、子育て経験があると有利です。
未経験で、いきなり小児はりを始めるのはリスクが高いと思われます。
小児は、「反応が早い」と表現することが多いのですが、良くも悪くも「急変」します。
施術後、瞬間的に完治することや、風邪の小児はりをした直後から熱があがって、一気に39度を超えるようなこともあります。
大人の治療でも、たまにそういうことはありますが、急変することはそうそうありません。
こういった、「施術後、どうなるか?」という経験がじゅうぶんにないと、怖くて小児はりはできないのではないでしょうか?
20代、30代、40代、50代、60代、それぞれの年代で未経験で就職・転職できますか?それとも求人に年齢制限はありますか?
上記で、触れてきましたが、未経験で始めるのは小児はりはリスクが高いと思われます。
ただ、小児と親の対応経験があれば、不可能ではないと思います。(小児科、産婦人科、保育園などの勤務経験)
初任給、20代、30代、40代、50代、60代それぞれの年齢別の給料の目安
勤務鍼灸師は、およそ手取り月給15万。社会保険なしボーナスなし、などという同期もいました。
小児はりの金額自体は、一回1000-1500円(自費診療)ぐらいでしょうか。
勤務するのであれば、時給900円ぐらいのアルバイトと同程度の扱いと考えます。
この仕事先で、年収をアップする方法を教えてください
独立開業しかないと思います。
特に、小児はりは鍼灸業界でも特殊な技術で、小児はりをやっている鍼灸院が少ないので、やり方次第ではじゅうぶんやっていけると思います。
小児はりへ就職・転職したい場合、履歴書の自己PR/志望動機は何を書けば良いか教えてください
子育ての実務経験があるといいですね。
ほかには、子育て支援のボランティアに参加経験や、保育園での勤務経験ですね。
それに加えて、鍼で子育て支援がしたいんだという熱意。
基本的に鍼灸は食べていけない資格で、鍼灸学校の同級生が10年後に同窓会すれば鍼灸院で開業して経営続けているのは一人いるかいないか、という業種に加えて小児はりがしたいというのは、ニッチ中のニッチなのでもし求人があったとして、そこに応募して面接に行くと、面接担当者には「相当な変わり者」と思われるのは間違いないでしょう。
私の知る限り、小児専門で開業している鍼灸院は日本で数件しかありませんが、猛烈に繁盛していますので、やり方でしょうが……
面接でよく聞かれる質問と回答方法を教えてください
鍼灸免許は、すごく有用でじゅうぶんにやっていける免許だと思いますが、一般的には「食べていけない資格」なので、もし、私が面接したとしたら疑問におもうのは
「なぜ、鍼灸の免許しかもってないのか?」
マッサージ免許を、なぜ取得しなかったのか?という意味です。
マッサージがあれば、まずどこでも食べていけます。
マッサージ師の募集は多いので。
学校には「鍼灸科」「鍼灸マッサージ科」があり、どちらも学費面でも授業時間的にもそれほど差異はないのです。
ただ、鍼灸マッサージ科は倍率が高く、入学が困難です。逆に、鍼灸科は倍率が低く、入学試験はあってないようなものです。
という、前提があります。
そのうえで、なぜ「食べていけないうえ、技術習得環境もないような小児はり」をやりたいのか?
そこまで、ニッチなことがやりたいのであれば、「どうすれば食べていけるか?」「どうすれば技術を身に着けられるか?」「現場がどういうものか?」最低限それぐらいは知ってるよね?小児はりを自分で受けた経験、もしくは家族の子供か自分の子供を治療してもらったことあるよね?
という、面接するほうも、かなり突っ込んだことを(私なら)質問します。
なので、小児はりを実際に受けた経験などもないと、即座に「この子は、やる気ないんだね」と思います。
まぁ、でも、「やってみたいと言うだけましかな?」とも思いますので、それをいかに伸ばしていくか……は、就職先の上司や社長、院長次第でしょうが。
面接での逆質問は、どのようなことを聞けばいいと思いますか?
やる気のある鍼灸師は、大歓迎ですので、熱意と誠実さが伝わるようなことならどんどん発言してよいと思います。
ただ、鍼灸は病院と違い、よりサービス業の側面が強いので、接客に向いていそうかどうか、というのが採用にあたって重要視します。
鍼灸って、資格がらといいますか、変わってる人が多くて、、、、、、、
協調性ないと言いますか、、、
個人的な発言になりますが、コンビニやホテルなどの接客バイト経験で、子育てしたことある鍼灸師で、ある程度意思の疎通ができる人なら即雇いたいです。
小児はりは、非常にいい技術で、そこから親御さんの治療が始まったりしますし、求められる技術でもあり、かつ技術を持っている鍼灸師も少なく、技術自体はむちゃくちゃに難しい技術でもありません。
まじめな鍼灸師であれば、技術を持った鍼灸師について学ぶことができれば必ず習得できるようなレベルです。
ライバルが少なく、ご家庭の主婦から圧倒的な支持を得ることができます。
どんな商売でも、主婦を味方につけられると経営が非常に楽になりますよね。
超有望な資格だと私は思っています。
小児はりの求人の探し方・見つけ方
数は多くはありませんが、意外と治療家専門の求人サイトで取り扱われている事もあります。
ぜひ探してみてください。