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今回は訪問治療や出張施術をしたことがある鍼灸師の方にインタビューに答えていただきました。
実際の仕事の環境や就職・転職のコツもまるっと聞いてきたので、参考になると幸いです。
(※ちなみに「あん摩の資格がなくて鍼灸師でも訪問治療ってできますか?」と聞かれることがありますが、鍼灸師の資格さえ持っていれば訪問鍼灸は出来ます。ただし鍼灸師の資格だけでは訪問マッサージは出来ません。違法です)。
※以下、インタビュー内容をそのまま掲載します。
鍼灸師として訪問治療という働き方を選んだ理由を教えてください。
地域の人々の健康に直接携われるから。
自分がぎっくり腰をしたときに鍼灸がとても効果的で感銘を受けたから、子供達がある程度落ち着いたら資格を取りにいくつもりでいた。
あのときの感動を外の人にも味わってもらいたい。
長年整骨院で勤務していて、訪問鍼灸もある事を知りこの仕事先を選びました。
整骨院での業務は主にマッサージなどが多く患者さんに鍼灸をする機会があまりなく、鍼灸専門の訪問鍼灸に勤め技術を磨きたいと同時にレセプトなどの業務も学びたいと思ったのが理由です。
高齢者も増えてきている中で、なかなか鍼灸院や整骨院など店舗に通えない、通いたくても移動手段がなく、なかなか家族に頼めないと言う方がいて、そんな方にも訪問鍼灸だとお身体を診ることができるし、サポートできることがあると思い訪問鍼灸を選びました。
鍼灸師としての訪問治療の内容・禁止事項(訪問マッサージ・訪問リハビリ・訪問介護はする?)。
半身麻痺や生活に不自由を感じる方などに鍼灸施術をしています。
鍼灸資格のみの方はマッサージなどはしないように言われています。
私はマッサージ資格も持っているので、業務内容のうちです。
リハビリについては明言しないように言われています。
介護アドバイスは求められればすることもありますが、原則しません。
保険適用の範囲では余計なことは一切しないように言われています。
自由診療については患者さんの意向に添うようにしています。
基本的には患者様の主訴に対しての鍼灸治療、マッサージ、リハビリです。
訪問鍼灸は主に患者様が歩行困難者でなければ伺って治療する事が出来ないので、患者様のほとんどが高齢者で車椅子生活の方や寝たりきりの方の治療が仕事です。
また訪問先として介護施設などもあり入居者を治療する為には時に車椅子からベッドに移乗したりと介護業務を多少する事もあります。
鍼灸師としていけない業務は、1番は消毒をしないで鍼灸治療をする事です。
鍼は身体の中に進入するものですし、時には微量の出血をする事もあります。消毒を怠ると罰則もあります。
鍼灸師として、在宅や高齢者施設を訪問して鍼灸施術を行う仕事です。
パーキンソン病や脳梗塞による片麻痺、骨折により歩けない方のちょっとした運動やリハビリを行います。
一人一人のニーズに合わせて、目標を設定して施術を行います。
基本的にトイレ介助や食事介助などは私達の仕事ではないので、専門のスタッフを呼んで行っていただきます。
一人一人によりますが、例えば家族やスタッフ、ケアマネさんから骨折するリスクがあるから歩行訓練など運動はして欲しくないとの要望があれば、絶対に行いません。
あくまでも施術なので、介護業務は基本的に何も行いません。
この仕事は医師の同意書がない場合は保険が効きませんよね?
効きません。
追加で自由診療を申し込まれる場合もあります。
訪問鍼灸師の一日の流れを教えてください
8:30ころ出勤してその日のルートと訪問先の患者さんの状態を再確認。
9:00訪問開始。到着したらできるだけ患者さんやご家族の前で手洗いうがい消毒してから施術開始。
12:00を、めどに一時間の昼休憩。患者さんの要望により前後。
午後の訪問開始。
遅くても17:00訪問終了して本部へ。
到着後、カルテ作成、引き続き事項の申し送り、レセプションなどできる範囲で。
特に状態の大きな変化が患者さんになければ業務終了。
あれば対策を練る。
直行直帰の場合もあるますが、基本会社に行き準備をして患者様宅へ向かいます。
夕方までびっしり予定があればそのまま患者様から患者様へと移動、治療の繰り返しです。
最後の患者様が終われば会社へ戻り、カルテを書いたり、集金を提出したり、備品の補充、次の日の日程確認、車の点検、レセプト業務です。
最後に他先生と情報交換したり、勉強会を行ったりと様々な業務もあります。
後、月に何回かは会社全員でミーティングをする事もあります。
出勤して、掃除して朝礼があり、そこで自分のシフトを読み上げる。
それから準備をしてシフト通りに社用車で回る。
基本的にお昼休みはあるので、自分のタイミングで車でご飯を食べる。
次の訪問先の近くのコンビニなどに車を停める。
午後もシフトをまわり終わり次第、パソコンにカルテを打ち込む。
それが終われば帰れる。
あとは、時間が開けば事務所に戻ってきて事務作業したり、明日の患者さんのカルテを調べたりする。
または、分からないことを聞いたり練習する。
訪問鍼灸のやりがい・大変なことを教えてください。
やりがい:来るのを楽しみにしてもらえて、施術したときに笑顔になってもらえたり、感謝の言葉をいてだけること。
お金をいただけるのに感謝されることはこの仕事一番の醍醐味だと感じています。
次の患者さんまで時間があるときはお話相手になることも、大切な仕事の一つだと思ってます。
大変なこと:患者さんの容態が悪化して入院したり、亡くなったときのメンタル面はキツイ。
次が埋まってて急いで行かなくてはならないときの寂しそうな顔をみるのは辛いです。
この仕事先のやりがいは患者様に感謝される事が1番です。
患者様はどこか痛かったり、身体が不自由だったりと様々な問題を抱えています。
少しでも患者様に寄り添い治療をして、患者様が少しでも楽になれば患者様から『ありがとう』と喜ばれます。
そのように言って頂けると治療して本当に良かったと思い、また次に繋げる事が出来ます。
大変な事は訪問先として介護施設もありますので、施設では気を遣いますし事故などを起こさないよう最善の注意を払って治療しなければならない事です。
また、認知症患者様も多くいらっしゃいますのでなかなかコミュニケーションをとるのが大変です。
片麻痺で立つのもやっとだった人が、立って支えれると歩けるようになったり、腰や下肢の痛みがありなかなか動くことができなかった方が動けるようになったり、拘縮している手指が鍼灸治療を続けることで開くようになったりと、本人様や家族に感謝されることがやりがいです。
大変なことは、本人が希望しているのではなく家族が少しでも良くなってほしいからと施術を希望され、本人は認知があり、意志の疎通が取れない、拒否されることが大変でした。
患者さんの自宅や施設には、大雨や台風の日でも行くのでしょうか?
行きます。
余程でない限り行きます。
基本的に行く。向こうからキャンセルの電話が来ることもある。
1日に何人ぐらいの利用者さんを治療しますか?
5-10人/日
9人から11人程度です。
10-15人。
就職した後の、職場での技術や知識の習得方法を教えてください。
会社の教育プログラムがあるのでそれを教えてもらいました。
ビデオで基礎的な地域包括についての勉強と、基礎的な技術はトレーナー(先輩たち)に教わります。
私が勤めた職場は主に経験者を採用して、すぐに一人で治療に回る為技術や知識は他の治療院に行って実際に治療を受けたり、セミナーにいって学ぶ事が多かったです。
まず初めは同じ職場内のデイサービスで、高齢者とのコミュニケーションや、歩行の介助などを学びます。
その後に、先輩スタッフに同行してシフトを周り、疑問点を質問して、少しずつ施術を行なってそこでのフィードバックをしてもらうのと、いろんな症状の方を想定してスタッフ同士で練習を行う。
鍼灸師の訪問の将来性・安定性についどう思いますか?
訪問でずっとやるには心身ともにしんどい部分がでてくるので、そんなに遠くないうちに独立して治療院を構えて行きたいと考えています。
患者さんの心身の健康を維持するためのとても大切でやりがいのある仕事なので、収入面はあまり期待できませんが固定患者さんが付けば、安定して生活できると考えています。
これからも鍼灸師として続けられる職場です。
訪問事業を始めて10年で、地元のケアマネさんやドクターに知り合いがいて、そこの紹介で依頼が来ます。
患者さんが、減ったとしても、新規の方が入ってきて、施術を行いたいがシフトが空いていなくてまっている方もいる。
訪問鍼灸の仕事に就くために必要な知識・経験は?(未経験のペーパー鍼灸師でも就職できる?)
未経験でも大丈夫ですが、やはりお別れがあること、施術時間に制限があるのが一番の課題でしょうか。
知識としてリハビリテーション医学は特に必須ですが、やはり広く医療知識がないと患者さんに信用してもらないのは感じます。
資格は鍼灸の資格があれば誰でもできますが、訪問鍼灸治療院の場合、主に1人で患者様宅に伺う為、鍼灸やマッサージの経験がないと独り立ちして治療に行けるまで相当時間が掛かりますので、ある程度の鍼灸、マッサージの経験は必要です。
未経験でも絶対に出来ないというわけではありませんが、治療にしても事務作業にしてもとても大変だと思います。
鍼灸師は必須です。新卒の方もいて、一から先輩スタッフが教えてくれるので資格さえあれば未経験でも可能です。
20代、30代、40代、50代、60代、それぞれの年代で未経験で訪問鍼灸に就職・転職できますか?それとも求人に年齢制限はありますか?
年齢制限はないですが、体位変換などは力仕事の部分もありますので、ご自分の体と相談するのがよいと思います。
腰痛癖のある方はあまりオススメしません。
年齢制限は全くありませんのでどの年代でも働けますが、ある程度の治療経験がないとどの年代でもなかなかうまくはいかないと思います。
何歳でも可能ではあると思うが、体力が意外といるので20〜40代が1番良いと思う。
訪問鍼灸求人の 初任給、20代、30代、40代、50代、60代それぞれの年齢別の平均的な給料、年収、ボーナスの目安を教えてください
初任給、20代:月収15万〜20万、手取り11万〜16万。年収200万〜280万。ボーナス無しもしくは1ヶ月。
30代〜60代:20万〜40万、手取り16万〜34万。年収280万〜550万。ボーナス無しもしくは1ヶ月。
初任給で25万で、年齢で上がるというよりも、経験やそこでの実力や頑張り次第で40万くらいまであがる。
訪問治療の場合接骨院より給料いいですか?
会社によりますが、歩合が就くことが多いので接骨院より稼げる事も多いです。
また中休みかわない分、定時で早く帰れます。
鍼灸のみで訪問鍼灸で訪問マッサージなみに稼げますか?
鍼灸よりもマッサージしてほしいと言われることも多いですし、20分程度の時間で効果を出さないといけないので、しんどいこともあります。
腕次第ですね。
同等程度稼げます。
保険を使うのであれば同じくらいだと思います。自費のマッサージならそちらの方が高い。
訪問鍼灸で収入をアップする方法を教えてください
とにかく指名を取ること。
患者さんから「あなたに来て欲しい」と言われるようになっていくことで、収入はどんどん上がると認識しています。
訪問鍼灸の場合、治療時間プラス移動時間がある為どんなに頑張っても1日、1ヶ月にこなせる人数がある程度決まっています。
年収をアップするにはとても良い治療で実費治療として高額の治療を行うか、自分で開業することです。
役職が20段階くらいに分かれていて、半年に一度、代表や他のスタッフからの評価で頑張れば、給料が上がる。
訪問鍼灸師のアルバイトはありますか?ある場合は時給も教えてください
あります。
相場は1件治療にいく事に1000円です。
治療30分、移動30分ですので時給換算で1000円が相場です。
あります。私の会社は時給1000円からでした。
訪問鍼灸の勤務時間、残業の有無、ノルマの有無、週何日休めるか、有給休暇は取れるか、福利厚生・手当て・保険
9:00-18:00が基本勤務
それ以上働くと残業になりますが、断ることもできます。
週1-2日。患者さんの都合によります。
有給あり。年10日まで。
雇用保険のみ。
他には役職手当てが少々と、指名を受けると一人一件で150円の指名代付与。
勤務時間は9時〜18時、残業はほぼ無し、ノルマはある所が多いです。
週休1日。
有給は鍼灸師の人数が多ければとれます。
福利厚生はほぼ無し。
手当ては自家用車だと自動車手当て、ガソリン代。
保険は治療院の人数が多ければ、社会保険、厚生年金、労災は付いています。
勤務時間は9:00から18:00。ノルマは無し。
基本的に日曜休みであとは隔週で休みがあるので月平均7-8回くらい。
有給休暇は入社して半年経てば取れる。自己申告で取りやすい。
手当は役職や資格手当、社会保険はあり。健康診断は年一回無料。
訪問鍼灸をしていて出会いはある?結婚できる?
出会いはほとんどないです。
僕が既婚なのでそれを求めてないのはありますが。
みんな出回っているので、職場の人とゆっくり話すのは忘年会くらいです。
出会いはほぼありません。あるとすればセミナーなどです。
20代半ばから30代前半が多いです。
基本的に20-40歳が多いので出会いはあると思いますが、結婚されている方も結構います。
鍼灸師が訪問の募集求人に応募する際、履歴書の自己PRと志望動機は何を書けば良いか
なぜ自分が鍼灸師を目指したのか?
今後の自分は鍼灸師としてどうしていきたいのか?
地域包括医療の中で自分がなにをしたくてなにができるのか?
学校でどんな流派で学んでどんな施術をしてきたのか?
そんなことをアピールしたらいいのではないでしょうか。
志望動機はアピールしたいことと重なりますが、これからの超超超高齢化社会に日本が突入するなかでなにをしたくて、働きたいならばその中でなにをしていこうと思っているのか?をはっきり伝えたらいいと思います。
与えられたことだけやってたい人には向きません。
自己PRとしては、マッサージが出来る事、鍼灸の技術と知識が豊富、リハビリや介護に関しての多少の知識があるという事を書くととても良いです。
志望動機としては、訪問鍼灸の場合患者様のほとんどが高齢者の為、お年寄りが好きで、話したりコミュニケーションをとるのが好きでさらに高齢者にいつまでも元気で生活してほしい為など、治療する患者様の為に働きたいと伝えると良いかと思います。
また、1人で考えて治療したいという事も志望動機の1つとして良いと思います。
なぜ訪問鍼灸をしたいのかというところと、自分の得意な事を書くといいと思います。
例えば人と接することが好きで、特に施術所に通えない高齢者も診ることができる。
より多くの人を診ることができる。
薬や治療法がない人でも、少しでも症状を和らげるために鍼灸治療にかけてくれる。
また、高齢者のためご逝去される方もいて、本当に死の間際まで関わることができる、感謝されることが多いこと。
自分の生き方も考えさせられたり、また助けになりたいと思う。
面接でのよくある質問と回答内容についてアドバイスをお願いします。
なぜ鍼灸師になったのか?→思うままに。
資格をどう生かしていきたいのか?→地域包括医療の一翼を担いたい。患者さんの笑顔が見たい、などなど。
鍼灸のどんな流派が得意なのか?→やれることを伝えましょう。
リハビリテーションの最低限の知識があるかないか?→学校で学んだ知識を問われます。例:圧迫骨折したときの経過や諸注意点など。
この先何年、この仕事をしたいと思っているのか?独立は考えているのか?→思うままに。
面接は内容よりも熱意の見せ所です。
面接ではまず経験の有無です。
ほとんどの訪問鍼灸治療院は新卒者は採用するというのは考えにくいです。
他の先生方は常に治療に回っている為、治療や知識を教える時間がほとんどありません。
なので経験者と言う前置きで言うのであれば、リハビリや介護の仕事が出来るかは聞かれる事が多いです。
そこは正直に答えておくと良いと思います。
治療の主は鍼灸ですのでリハビリや介護の事は多少の時間で少しずつ覚えれますので正直に答え、あまり経験がなければ教わると良いです。
その他には中途採用ですので希望の給料なども聞かれる事が多いので正直に答えると良いと思います。
なぜ訪問鍼灸を希望されたのか聞かれました。
上記の質問内容に書いてあることを私は答えました。
ありのままに、思うことを答えると良いと思います。
訪問鍼灸でしか学べないことを学びたいと答えると良いと思います。
例えば難病の方や脳梗塞、パーキンソン、圧迫骨折や大腿骨骨折などの方が多いので、整骨院では学べないことや出会えない疾患の方をみることができるなど。
自分は将来どういう風になりたいか、何を大事に仕事をしていきたいかと聞かれました。
面接での逆質問は何を聞けば良いと思いますか?
例えば今、リハビリテーション医学などが曖昧(が当たり前)ですが、教育プログラムはどうなっているのか?
など、就職後の教育面は聞いといたほうがいいと思います。
訪問鍼灸は主に車で移動しますのでガソリン代や車の保険は会社でもってくれるのかは必ず聞いておくと良いと思います。
何か勉強していくことはあるか、準備しておく物などはあるか。どれくらいのペースで施術を行なっているかなど。
訪問鍼灸の求人の探し方・見つけ方
訪問鍼灸はかなり需要がありますので、各治療家専用の求人サイトで簡単に見つかると思います。
ぜひ探してみてください。