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今回はあん摩マッサージ師の働き方の一つである「機能訓練としての働き方」についてご紹介します。
昨今、治療院の乱立や保険の締め付け、また無資格マッサージ店などを理由に、治療家としてあん摩マッサージ指圧師を続けるのが難しいと考えている方も沢山います。
そんな方の選択肢の一つに機能訓練指導員がありますので、参考になれば幸いです。
そもそも、機能訓練指導員とは?
機能訓練指導員は介護保険法のリハビリ分野における重要な職種であり、「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者」と定められています。
機能訓練指導員になることができるのは、7資格(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師)です。
デイサービスや特別養護老人ホームなどの施設において、利用者一人ひとりの心身の状態に合わせて機能訓練を行い、できる限り自分で身の回りのことができるように支援していく役割を担っています。
機能訓練指導員の仕事に、あん摩マッサージ指圧師の資格は役立つ?
ちなみに、機能訓練指導員の仕事があん摩マッサージ指圧師の資格・仕事の内容に直結するのかについては、必ずしも直結しないかもしれません。
というのもデイサービスなどでは、高齢者の運動の補助やフィットネスマシンの利用補助なども機能訓練指導員の業務内であり、訓練範囲はマッサージだけに限定されないからです。
もちろんマッサージをする際は、あん摩マッサージ指圧師として、マッサージや指圧療法等によって疲労感や筋肉のコリ、硬さを軽減するような主義を使うことは可能です。
機能訓練指導員には、どんな仕事先・就職先がある?
機能訓練指導員の職場・仕事先は、デイサービス(通所介護)、特別養護老人ホーム(介護福祉施設)、有料老人ホーム、ショートステイなどがあります。
※関連
基本的な仕事内容は同じですが、事業所の機能によって違いもあります。
機能訓練指導員の仕事内容は、利用者の生活環境の確認や身体機能の評価から始まります。
利用者本人や家族の意向も聞き入れながら、どのような訓練を行っていくかを考え、機能訓練計画表を作成します。
この計画表は3ヶ月ごとに見直され、経過や状態などを振り返り、新たなものを作成していきます。
利用者が抱えている「困りごと」や「必要としていること」を把握し、それに対する適切な支援をすることが必要です。
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機能訓練指導員の仕事のやりがい・大変なこと
基本的に事業所には機能訓練指導員は1~2人なのでやることが多く、マルチプレーヤーになる必要があります。
単なる施術で終わらないので、患者がより自立できるように、計画的に取り組むことが必要です。
患者一人ひとりの状態が様々なので、画一的な方法やこれが正解というものがないので、経験を積み、自分で調べたり、他の施設でのやり方を聞いたり、機能訓練指導員アドバイザーにアドバイスしてもらいながら、自分でそのケースに合った方法を見つけて作っていく必要があり、この部分は機能訓練指導員のやりがいでもあり、大変さでもあると言えます。
機能訓練指導員として、してはいけない事
機能訓練指導員として働く上で注意すべきことに、「機能訓練」と「リハビリテーション」の違いの理解があります。
「リハビリテーション」は患者(利用者)が抱える疾病を、早期に回復させることを目的としていますが、機能訓練は回復した先に、患者(利用者)が自立した生活を送ることができるようになるために必要な支援は何かを考える必要があります。
このため、機能訓練指導員が理学療法士のようにリハビリテーションに主眼を置いて、仕事を進めていくことは認められていません。
どんな「あん摩マッサージ指圧師」が機能訓練指導員になる?
あん摩マッサージ指圧師の資格を持ちながら、機能訓練指導員になる人にはどのような人が多いのでしょうか。
1つの例ですが、高齢者が好きで、じっくり時間をかけて一人ひとりの利用者と向き合いたいという理由で機能訓練指導員を選んだという人がいます。
車いすでの生活をしていた人で、膝の関節や肩関節が筋肉のこわばりがひどく、可動域が極めて狭くなってしまっている患者に根気強く何度もマッサージなどの施術をしたところ、時間はかかったものの、手すりや杖などを使い歩行ができるようになった患者がいて、患者と家族から感謝をされたことが、仕事に対する励みややりがいにつながり、機能訓練指導員を続けていると言う方もいました。
あん摩マッサージ指圧師が機能訓練指導員になるために必要な知識や経験、年齢制限は?
機能訓練指導員の求人としては、新卒でも求人が出ています。
勤務先の条件にもよりますが、特別に年齢制限を設けていないところが多いです。
元気な高齢者だけではなく、体が不自由で耳の遠い人や、発話発語ができない、あるいは認知症の患者との接し方などについて、初めは難しいと感じることが多いかもしれません。
そういった状況にも柔軟に対応していくことが求められるので、必要な知識や経験としては、あん摩マッサージ指圧師の人生経験そのものといえるかもしれません。
就職した後の、職場での技術や知識の習得方法は?
機能訓練指導員として就職した後の職場での技術や知識の習得方法としては、理学療法士、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、柔道整復師などが会員登録している「各公益社団法人」が開催している、機能訓練指導員の資質向上のための講習会や研修会に参加することで技術や知識の習得をしていく方法があります。
例えば「公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会」や「日本あん摩マッサージ指圧師会」では、「認定訪問マッサージ師、および認定機能訓練指導員の講習会」を開催しています。
また、全国病院理学法協会では、運動療法や機能訓練指導といったリハビリ業務の従事者に対し、「運動療法機能訓練技能講習会」を行っており、理学療法士以外の介護従事者が対象となっています。
現場で学ぶことだけなく、外部の講習会に参加することで、より知識を深めることができます。
機能訓練指導員の 勤務時間、残業の有無、ノルマの有無、週何日休めるか、有給休暇は取れるか、福利厚生・手当て・保険の目安
勤務時間は、施設によって異なりますが9:00-17;00としているところが多く、残業も多くない印象です。
ノルマなどは特になく、休日も勤務形態によって異なりますが、正社員で週休2日というところが多いです。
有休も取得可能で、福利厚生は会社によって異なりますが、勉強会の費用なども出してくれるところがあります。
履歴書の自己PRや志望動機、面接のアドバイス
最後に機能訓練指導員として就職したい場合の履歴書の自己PR、志望動機やよくある質問についてのアドバイスです。
まず面接でもよく聞かれる質問ですが、「どうして純粋にあん摩マッサージ指圧師としてマッサージの施術をするのではなく、あえて機能訓練指導員を選んだのか」について深く考えてみる必要があります。
高齢者を施術の対象としている理由について、何か特別な経験があり、思い入れがあるのであれば、その状況などがわかるように志望動機に記載するのも良いでしょう。
特に機能訓練指導員の仕事は、慢性期の高齢者とじっくり向き合って機能改善を行うことになりますので、その部分について触れられると尚良いです。
自己PRなどは、あまり飾らず人と接することが好きであるなど、機能訓練指導員としての素養として求められていることを書けたら尚良いと考えます。