「整骨院で、保険を適用できるのはどんな症状?」
「過去には、どんな不正請求があった?」
この記事では、以上の疑問にお答えします。
整骨院のなかには、違法に保険を請求しているところも存在するので、注意しましょう。
過去には無資格者による施術や水増し請求などの不正請求が告発されたり、通報されたりして逮捕者が出た事例もあります。
この記事では、保険適用すると違法となる症状や整骨院が行う違法請求の方法について解説します。
過去の告発事例についても解説するので、整骨院の違法請求について詳しく知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。
保険の適正化で整骨院の不正請求は減少傾向
整骨院の保険適用が適正化され不正請求が減少するとともに、療養費の額も年々減少傾向にあります。
ここでは、療養費が減少する理由も含めて保険適用の現状について解説します。
療養費は年々減少傾向
柔道整復師の療養費は、年々減少を続け、平成23年度は4,085億円だった額が令和元年には3,178億円にまで減少しました。(参考:柔道整復、はり・きゅう、マッサージ、治療用装具に係る療養費の推移(推計)|厚生労働省)
整骨院の保険適用については、現状厳しい状態が続いています。それでは、なぜ療養費が減少しているのでしょうか。次に、その理由を解説します。
療養費が減少する理由
療養費が減少する大きな理由の1つは、制度の見直しです。療養費の支給制度の見直しにより、従来は保険を適用して柔道整復師が対応していた症状が、保険を適用できなくなりました。
また従来、整骨院が保険適用していた症状のなかには、肩こりや慢性腰痛などの本来は適用できない症状も含まれていたと考えられます。
そこで保険者が、保険の適切な利用法について患者さんに啓発するようになったため、整骨院を利用する人が減った可能性もあるのです。
次に、整骨院で保険を適用できる場合と適用できない場合をみていきましょう。
整骨院で保険を適用できる症状
整骨院で保険を適用できる症状は、次のとおりです。
- 骨折
- 脱臼
- 打撲
- 捻挫
- 挫傷
骨折と脱臼については、医師の同意が必要です。また挫傷とは、筋肉のケガのことで肉離れなどの症状を指します。
以上の急性症状が柔道整復師が保険を適用して施術をできる内容です。患者側が整骨院で保険を適用して施術を受ける場合は、「いつ、どこで、何をしていて痛めたのか」を答える必要があります。
整骨院で保険適用すると違法になる症状
慢性症状については、整骨院で保険を適用して施術を受けると違法です。たとえば、次のような症状に保険を適用して施術をすると違法となるため注意しましょう・
- 肩こり
- 慢性腰痛
- 関節症
それぞれについて解説します。
肩こり
肩こりは一般的に慢性症状であることが多く、患者さんがいつ、どこで、何をしていて痛くなったのかを答えられないことが多いです。
従来は肩関節の捻挫などで保険請求をしていた整骨院も存在しましたが、保険の適正化で肩こりに保険を適用できなくなりました。
慢性腰痛
いつ痛めたのかはっきりしない慢性腰痛には保険を適用できません。たとえば、デスクワークで腰が痛くなった場合は、慢性腰痛に該当するため保険を適用できないと考えられます。
従来は、亜急性と呼ばれる症状で保険が適用されていることもありました。それは柔道整復師が「亜急性とは、反復や持続した外力による急性外傷と同様な外傷」と定義していたためです。
デスクワークでおこった腰痛の場合、持続した外力が腰にかかって痛めた急性の外傷として保険が適用されていたのです。しかし現在、療養費の支給対象からは亜急性が外されています。
そのため、デスクワークやスポーツ障害などの反復や持続的な外力が原因で発症した腰痛への保険適用が難しい事例が増えているようです。
しかし腰痛のなかでも、ぎっくり腰やスポーツ外傷などの「いつ、どこで、何をしていて痛めたのか?」を患者さん側がはっきりと応えられる症状であれば保険適用が可能です。
関節症
関節症とは、関節に炎症や痛み、腫れ、硬直などの症状がおこった状態です。たとえば、関節リウマチや加齢による関節症が考えられます。
従来の整骨院では、加齢による変形性関節症が保険を適用して施術されていました。しかし現在は、変形性関節症に対して保険を適用して施術をすることが難しくなっています。
整骨院における不正請求の方法
整骨院における違法請求の方法には、次のようなものがあります。
- 部位転がし
- 水増し請求
- 負傷原因の捏造
- 無資格者による施術
各方法について解説します。
部位転がし
部位転がしとは、施術部位を差し替えながら1人の患者に対しての保険請求を繰り返す行為です。
とくに整骨院への通院が常態化していた高齢者に対する施術で保険請求をする際に、使われていた違法請求の手口です。たとえば、膝の施術で数ヶ月請求を続けて、その後、肩などの別の部位に施術の対象を変更しながら保険請求を長期的に繰り返します。
水増し請求
水増し請求とは、患者さんが症状を訴えている部位以外にも保険を適用して請求する行為です。
たとえば、腰痛で訪れた患者さんに対して両側の股関節を痛めたとして請求する方法などが考えられます。
負傷原因の捏造
負傷原因の捏造とは、患者さんが訴えている原因とは異なる原因を勝手に作り出す行為です。
たとえば患者さんがデスクワークによる肩こりと訴えているにも関わらず、日常生活で肩を捻って肩関節が捻挫したとするような原因を造り上げます。
無資格者による施術
整骨院で柔道整復師以外が施術を行って保険を適用すると違法になります。従来は柔道整復師を養成する学校に通う生徒を雇い、その学生に施術をさせて保険請求をする整骨院が多かったようです。
現在は保険の適正化により、学生に施術をさせて保険を適用する整骨院はあまり見られなくなりました。
整骨院の不正請求に関する告発事例
ここでは、整骨院が違法に保険を請求した事例を3つ紹介します。
施術日数を水増しして自動車保険金をだまし取った事例
交通事故の治療で整骨院に通院した日数を水増しし、自動車保険金を詐取したとして、柔道整復師と患者5人が逮捕されました。
約10か月にわたり、通院日数を水増しして保険金をだまし取っていたようです。整骨院を経営する柔道整復師が、患者に水増しを持ちかけていたとされています。
施術日数を水増しして療養費を請求した事例
療養費を不正請求したとして、柔道整復師に対し保険者への療養費請求を5年間認めない処置が下されました。
3年以上にわたり、患者に施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったことにしたり、施術日数を水増ししたりして、不正請求を繰り返していたようです。患者からの情報提供で不正が明るみになりました。
柔道整復師の資格を持たない整体師が担当した施術費を不正請求した事例
柔道整復師の資格を持たない整体師が行った施術について、保険を請求したとして、柔道整復師に受領委任の取扱い中止の処分が下されました。
5年間にわたり新規の受領委任が認められず、保険を適用して施術ができなくなりました。
自費メニューを導入する整骨院では不正請求がない
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整骨院で働く場合は違法な保険適用に注意しよう
整骨院のなかには、未だに違法な保険適用を行っている施設も存在します。就職後に、違法であることが判明すると、自分の働き方について罪悪感や将来への不安を抱える原因にもなります。
そのため、整骨院で働く場合は違法性のある保険請求を行っていないかチェックするようにしましょう。とはいえ、就職前から違法性を見抜くのは難しい場合もあります。
そのため、もし違法性のない整骨院に就職したい場合は、自費メニューを中心に施術サービスを提供している整骨院への就職を検討するのも1つの手段です。
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