柔道整復師になろうとしている学生や、すでに働いている施術者のなかで、次のような不安を抱えている人はいませんか?
「柔道整復師の将来が終わってるっぽい…」
「柔道整復師に未来はあるのか?」
保険請求の適正化や柔道整復師の増加を考えると、将来性について不安に感じるのも無理はありません。しかし最新の情報をもとに考えると、柔道整復師の将来は明るいことをご存じでしょうか。
この記事では、柔道整復師の将来が不安といわれる理由と明るい理由、将来性のある柔道整復師になるための方法について解説します。柔道整復師の将来が不安でしょうがない場合は、ぜひ最後までご覧ください。
柔道整復師の将来が不安な理由
柔道整復師の将来が不安といわれるのは、保険請求の適正化や過剰な柔道整復師の増加などの社会的背景が理由として考えられるようです。ここでは、柔道整復師の将来が不安な理由について詳しく解説します。
保険請求の適正化が進んでいるから
保険請求の適正化が進むと、整骨院や接骨院の収入が減少するため、柔道整復師の将来性が不安になる人も多いようです。
過去には、肩こりや慢性腰痛などの症状について請求できていた時期もありました。しかし現在は、保険の適正化でそれが難しくなったのです。
つまり、骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの急性症状のみに限り保険請求ができるような本来あるべき状態でシステム運用できるように制度が整えられました。
慢性症状に近い体の痛みや関節痛などで保険請求できなくなることで、患者さんの数が減り、柔道整復師の収入が減ってしまうのではないかとの心配の声が聞かれます。
柔道整復師が増え過ぎたから
柔道整復師の数が増え過ぎたため、将来性に不安を感じる人もいます。柔道整復師の数が増えると、それだけライバルも増えることになります。限られた患者さんを奪い合うことで、それぞれの柔道整復師の仕事量も減少することが心配されているのです。
下記の厚生労働省が発表したデータを確認すると、平成10年から平成26年にかけて柔道整復師の数は倍以上に増えています。
さらに柔道整復師の増加に比例して、施術所数も増加しています。競合も増えることで、経営難に陥る整骨院が出てきました。
「保険請求の適正化」や「柔道整復師の過剰な増加」は柔道整復師にとってはネガティブなトピックスかもしれません。しかし昨今の柔整師業界においては、ポジティブな面も見られるため、柔道整復師の将来性が不安とは限らないようです。
次の記事でも、柔道整復師に関するネガティブな面を紹介しているので、参考にしてください。
柔道整復師の将来性が明るい理由
柔道整復師に明るい未来が待っている理由は次のとおりです。
- 自費専門の整骨院でも経営が成り立つから
- 柔道整復師の数が増えづらくなったから
- 柔道整復師が活躍できる場面が増えているから
それぞれについて解説します。
自費専門の整骨院でも経営が成り立つから
現在では、自費専門で繁盛する整骨院も出てきました。保険に頼らずに自費でも整骨院経営が成り立つため、保険適正化におびえる必要がないのです。
実際に柔道整復師が保険を適用できない肩こりや慢性腰痛について、高額な自費施術であっても患者からのニーズがあります。そのため、うまく自費メニューを整骨院に取り入れると保険を適用せずとも売上を伸ばせます。
また、株式会社日本総合研究所の試算によると、ヘルスケア分野の市場規模は2016年の約25兆円から2025年には33.1兆円に伸びると予想されています。
※参考元:「平成 29 年度健康寿命延伸産業創出推進事業(健康経営普及推進・環境整備等事業)調査報告書|株式会社日本総合研究所」を元に作図
柔道整復師はヘルスケア分野とも親和性の高い資格。整骨院業界でもヘルスケア関連のサービスを取り入れることで、今後も業界の成長が期待できるのです。
柔道整復師の数が増えづらくなったから
柔道整復師の数は次第に増えずらくなってきました。平成10年以降の柔道整復師の合格者数は、次のとおりです。
※参考元:「柔道整復師国家試験の実施状況|厚生労働省」や厚生労働省の公式サイト発表をもとに作図
柔道整復師が一気に増えたのは、平成15年~22年にかけてで、最大5,570人にまで増加しました。
その後は、横ばいの状態が続き、平成27年以降を境に減少傾向に。合格者数が減少傾向になった要因には、受験者数と合格率がともに減少したことが考えられます。
令和4年発表の合格者数は2,740人となり、平成22年の5,570人の半分にも満たない数です。柔道整復師の合格者数が減少傾向にあることから、今後は競合数が次第に増加しなくなると考えられます。
柔道整復師が活躍できる場面が増えているから
柔道整復師が活躍できる場面は増えています。現在の柔道整復師の勤務先は次のとおりです。
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柔道整復師は機能訓練指導員になれるため、介護施設やリハビリ施設といった施設でも活躍できる点が魅力です。高齢者の数が増加傾向の現在において、活躍の場がますます広がることでしょう。
将来性のある柔道整復師になる方法
将来性のある柔道整復師になるためには、コミュニケーションや施術スキルを身に付けることが大切です。またダブルライセンスを取得して、仕事の幅を広げるのも1つの手段でしょう。将来性のある柔道整復師になる方法について詳しく解説します。
コミュニケーションスキルを身に付ける
将来性のある柔道整復師になるためにはコミュニケーションスキルが欠かせません。
たとえば、患者との良好な関係を築くために、健康に対する悩みや体の痛みなどの愁訴を正しく理解する必要があります。
また、施術の流れや症状について正しく伝える「インフォームドコンセント」を学ぶことも大切です。
施術スキルを身に付ける
独立開業をしたり、グループ整骨院の幹部になったりして柔道整復師として成功したい場合は、スキルアップが重要です。
スキルアップを図るためには、短い施術時間でも効果が出るようにしたり、再現性を高めたりして、患者さんの体への負担を減らしつつ満足度も高められるようになることが大切です。
また昨今は施術所の倒産が増えて、業界内で競争が激化しています。そのため将来性のある整骨院運営をしたい場合は、経営についても学ぶ必要もあるでしょう。
ダブルライセンスを取得する
ダブルライセンスを取得すると、働き方の選択肢が増えます。柔道整復師であれば、鍼灸師や介護福祉士の資格を取得すると、働き方の幅を広げられるでしょう。
資格取得のために学習する内容も多岐にわたり幅広い知見を身に付けられるため、治療家としての総合力を高められます。
将来性のある柔道整復師の働き方
将来性のある柔道整復師の働き方は次のとおりです。
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それぞれについて解説します。
多店舗展開している整骨院で働く
柔道整復師として安定した収入を得て将来性のある働き方をするためには、多店舗展開するグループ整骨院で働くことも1つの手段です。
グループ整骨院は、新卒でも比較的高い給与が期待できるうえに、福利厚生やボーナス制度も整っています。一般企業に勤めるのと同レベルの雇用環境のもとで働けます。
とくに自費メニューを積極的に取り入れるような時流に乗った整骨院であれば、さらに将来性が明るいといえるでしょう。
整形外科クリニックリハビリ室で働く
整形外科は医師が常駐していることもあり、社会的な信頼性が高く安定した需要が見込めます。
また保険を適用して対応できる症状の範囲が整骨院に比べると幅広く、経営も安定しやすいといえるでしょう。廃業のリスクが少なく、長く働けるため将来性があると考えられます。
介護施設で働く
機能運動指導員として介護施設で働くのも、将来性があると考えられます。介護業界は慢性的な人手不足に陥っているため、仕事が見つからないことを心配する必要がありません。地方でも需要があるため、どこに住んでも将来性のある働き方ができるでしょう。
柔道整復師には明るい将来が待っている!
柔道整復師の将来性が不安というのは、少し前の古い考え方です。現在は自費メニューの導入に成功したり、ヘルスケア分野で売上を伸ばしたりしている整骨院も出てきています。また整骨院以外の整形外科や介護施設などの安定した働き方も選択可能です。
なかでも時代の流れにのった整骨院で働けば、明るい未来が待っています。将来性が気になる場合は、自費メニューを積極的に取り入れたり、スキルを取得できたりする整骨院で働くとよいでしょう。
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